- その後アフリカママチャリの旅を経て、それからはもう、結婚して普通に生きるつもりだった。普通の定義とか、そういうややこしい話は置いておいて、もう、とにかく、普通に生きるつもりだった。
- 今年四十歳になる。不惑と呼ばれる年齢になってもこんな生活を送っているとは思わなかった。
- 「あ、ゴビで死のう。」重たい空気が沈殿している薄暗いアパートで、その閃きはまるで天啓の様だった。
- 「サイハン、サイハン!(とっても良いです!)」と答える。もう人間が話しかけてくれるだけでこの何も無い沙漠では嬉しい。
- 「この国は、ほんとうに存在するのだろうか?」ヘッドランプの灯りで、財布の中に残っていた【天王寺 →関西国際空港行き】の特別急行券をテントの中で私はしげしげと見つめていた。
- 生きるとは。死ぬとは。永遠なんて無くても僕らは笑って過ごしてて、ほころぶ様な時間も、いつか終わる命も、その全てが同じ光みたいに思えた。
- 「いや、大丈夫。大丈夫。絶対に帰れる。」手を胸に当てて、声に出して自分に言い聞かせた。それでも不安が爆発しそうな時は、自然と空を見て大事な人たちを思った。人を思う時、どうして人は空を見上げるのだろう。
- 「オレナラデキル!オレナラデキル!オレナラデキル!」と何度も言ったり「ヒイイイイイ!」という奇声上げたりもした。
- 何より「時計不携帯」というマイルールを破ることになってしまう。
- 今までで一番ビビってる。命の為に意地を張るのはよそう。僕は死にたくない。負けてもいいから死にたくない。